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Manifest Study

マニフェスト研究

01.社会政策

自殺者ゼロを目指して

自殺者ゼロを目指して‐社会政策

目次

政策提言として

日本では、年間に2万人以上の自殺者が出ていますが、自殺率は先進国の中で最も高く、発展途上国や内紛地域と同等の水準に達しており、日本の自殺への対応は世界でも遅れていると言わざるを得ない状況が続いています。

国連が発表している幸福度ランキングでも、日本は50位前後と先進国の中でも特に低い順位ですが、日常生活の中で幸福を感じることが少なく自殺を選んでしまう人がいるという結果に結びついているのかもしれません。

先進諸国では15~24歳の若者の自殺率下がっている中、日本だけ若者の自殺率は上がっているというデータも存在しているそうで、少子高齢化社会の問題も相まって、自殺者への対策は急務を要するものになっています。

背景

  • 日本全体では2万人を超える自殺者が出ている
  • 一人で抱えてしまい問題が深刻化しやすい
  • 原因は様々でも共通して孤立する状況にある
  • 相談できる環境がない

根本的な原因

  • 働き盛りの経済的要因が大きい
  • 問題が深刻化する前に気づける環境がない
  • 相談が恥ずかしいという心理状態
  • 自ら孤立してしまう心理状態
  • 相談できる機関などの情報を知らない

質問と提言例

 作成中

日本の自殺事情とは

日本における自殺は、政界保健機関(WHO)の2016年の統計では、人工10万人中のにほんのじさつりつと世界ランキングの高い順のランキングは、男女合計は18.5人で14位、男性は26.0人で17位、女性は11.4人で8位という結果が出ています。

世界保健機関(WHO)の2016年統計の年齢別の自殺率と世界の順位は次のようになっています。

  • 10~19歳・・・4.8人で53位
  • 20~29歳・・・18.6人で24位
  • 30~39歳・・・18.6人で24位
  • 40~49歳・・・20.7人で21位
  • 50~59歳・・・23.9人で31位
  • 60~69歳・・・20.8人で60位
  • 70~79歳・・・25.7人で69位
  • 80歳以上・・・27.8人で94位

年齢別自殺の原因・動機

・全年齢層
  1. 健康(49.2%)
  2. 経済・生活(16.2%)
  3. 家族(14.9%)
  4. 勤務(9.5%)
  5. 男女(5.1%)
・19歳以下
  1. 学校(33.1%)
  2. 健康(21.0%)
  3. 家族(20.4%)
  4. 男女(9.2%)
  5. その他(7.9%)
・20~29歳
  1. 健康(31.3%)
  2. 勤務(18.2%)
  3. 経済・生活(15.6%)
  4. 家庭(11.1%)
  5. 男女(10.0%)
・30~39歳
  1. 健康(39.3%)
  2. 経済・生活(17.5%)
  3. 勤務(15.6%)
  4. 家庭(15.0%)
  5. 男女(7.2%)
・40~49歳
  1. 健康(42.2%)
  2. 経済・生活(19.7%)
  3. 家庭(16.4%)
  4. 勤務(13.9%)
  5. その他(4..1%)
・50~59歳
  1. 健康(45.8%)
  2. 経済・生活(23.5%)
  3. 家庭(13.6%)
  4. 勤務(11.9%)
  5. その他(3.5%)
・60~69歳
  1. 健康(56.6%)
  2. 経済・生活(20.0%)
  3. 家庭(14.0%)
  4. 勤務(4.4%)
  5. その他(4.2%)
・70~79歳
  1. 健康(68.9%)
  2. 家庭(15.0%)
  3. 経済・生活(9.4%)
  4. その他(5.3%)
  5. 勤務(1.0%)
・80歳以上
  1. 健康(70.4%)
  2. 家庭(17.7%)
  3. その他(8.1%)
  4. 経済・生活(3.1%)
  5. 男女(0.3%)

日本の自殺者数

警察庁の統計によると、1988年から97年までの10年間の自殺者数は平均約22,000人だったそうですが、1988年には一挙に32,863人に増え、そのまま十数年間3万人を超えの状態が続き、せかいでも自殺率の高い国になってしまったそうです。

特に深刻なのは、40~50歳代の働き盛りの男性の自殺者数の増加で、急激な社会変動を経験すると、若年の男性の自殺率が上昇するという世界的な傾向とは対照的に、90年代末から中高年男性の自殺が急増したというのが大きな特徴ですが、なぜ中高年男性に自殺が増えたのでしょうか。

◇終身雇用制の崩壊

1990年代にバブルがはじけ不況が深刻化し、失われた10年間とも言われる期間に、戦後の高度経済成長を支えてきた終身雇用制を維持できる企業が減った結果、業績の悪化に伴う従業員の解雇も現実の問題となりました。

◇業績評価の導入

従来、日本では年功序列の賃金体系は、失われた10年の間に継続が難しい状況になり、欧米並みの成果主義が導入されたのですが、人件費の総額を削減することが最大の目的であったため、労働者には不公平感の残る性急な制度の導入となってしまいました。

◇非正規雇用の増加

非正規雇用の形態は、バブルがはじけた90年代から業績が悪化したときに迅速に人材を解雇できるようにするため、新たに増え始めた雇用形態ですが、終身雇用ではないために不安定な生活を強いられる労働者が増え始めたのも同じ時期になります。

「終身雇用制の崩壊」「業績評価の導入」「非正規雇用の増加」の要因が相互に関連し合って、特に働き盛りの世代の男性に深刻な影響を及ぼして、自殺者の増加につながっていったと考えられます。

社会的な問題として自殺を考える

自殺に関する深刻な事態に、96年には自殺対策基本法が成立し、自殺は社会全体が抱える問題として取り組み始め、翌97年には自殺総合対策大綱が発表され、具体的な指針が示されました。

日本では、自殺を個人的な問題として捉えられる傾向が強かったのですが、社会全体の問題として取り組むべき課題であると明確に指摘された結果、メンタルヘルス対策、多重債務対策、自殺者遺族支援をはじめとして、様々な対策が展開されるようになりました。

講じてきた対策が功を奏したのか2012年に難関自殺者数が3万人台を切って以来、自殺数は順調に数を減らし、2018年は20,840人にまで減っており、1972年以後の数字としては最少になったとはいえ、自殺者数は交通事故死者の6倍近く、自殺者数を減らしていかなけらばならない状況はまだまだ続いています。

メンタルヘルスの原則

◇早期の問題把握

経済的な問題、対人関係の問題、精神疾患など、自殺の原因となる問題が様々ありますが、自殺に追い込まれてしまう前に、早い段階で問題に気づくことが解決の第一歩となるので、問題が深刻化する前に問題を認識することが大切です。

◇適切な支援希求

長い人生の間には、誰でも問題を抱え悩むことはありますが、一人で問題を抱えるのではなく、適切に援助を求められる環境が必要で、相談するための機関の正確な情報を周知しておくことも必要なことです。

自殺の陰に孤立あり

自殺してしまう方の多くは、必ずと言ってもいいほど「孤立」した状況に追い込まれていて、誰も助けてくれないといった悲惨な状況に置かれている一方で、周囲に家族・友人・同僚など、救いの手を差し伸べようとしてくれる人が沢山いる状況でも、鬱病や総合失調症などの精神疾患の影響で「周りに迷惑をかけている」「自分はいることで回りを不幸にしている」と思い込み、自図から孤立を招いている人もいます。

令和の時代を迎えた現在でも、心の問題や多重債務などの問題について、誰かに相談することを恥ずかしいと感じる心理は根強く残っており、自殺の危険の高い人は心理的視野狭窄の状態であり、追い込まれている状況に陥った人にとっては、自分の抱えた問題が解決することはなく、自殺だけが苦境から逃れる唯一の解決策だと頑なに信じ込んでいる状態なのです。

誰かに相談したって、すぐに問題が解決できるわけではありませんが、言葉に出して問題を語ることにより、問題を客観的に見ることが出来、冷静さを取り戻していくことは出来ますし、一人で悩んでいた時には思いつかなかった解決策が浮かび上がる可能性もあります。

自殺予防の活動

自殺対策基本法が成立して以来、全国各地で様々な人たちによる自殺予防活動が展開されていることはとても素晴らしいですが、大きな声で成果を宣伝して回る団体が、自分たちの主張が受け入れられないと他社を攻撃し始める妙な縄張り争いが起こっていることも事実で、自殺予防という目的は同じはずなので、連携して協力する必要があることをしっかりと認識してほしいものです。

団体それぞれの分野について得手不得手があると思いますので、自分たちだけでは対応できないことを、その分野について得意としている他の団体と協力しながら、自殺を予防し根絶していくという目標に向かっていく柔軟な対応が必要となります。

若年層に対する自殺予防教育

日本の年間の自殺者総数が2万人を超えているなか、全体に対する19歳以下の自殺者の割合が低いことから、若年層に対する取り組みはそれほど熱心に行われていないのが現状で、少子高齢化が進んでいる状況の中では、若者の命を守る観点からも、自殺予防教育の実施は重要であると考えます。

特に10代の若者に対する自殺予防教育は、生涯を通じて心の健康保持に繋がると考えられており、長い人生の中で様々な問題を抱えてしまう状況でも、一人で抱え込まずに誰かに相談することが、問題解決に繋がっていく点を伝えておくことで、働き盛りの自殺が深刻な社会問題となっている状況の中では、長期的な視点にたつと効果的なものになると思います。

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