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選挙の戸別訪問は是か非か

市議会議員選挙における戸別訪問の是非

庭先で作業しているときに選挙に立候補している人に「こんにちは」と声をかけられ、「この度選挙に立候補した○○です。今日は私の政策を伝えに来ました。」と、数分間候補者と政策や選挙について議論を交わすことは、欧米では一般的な風景ですが、日本では公職選挙法違反となります。

目次

個別訪問の禁止

日本では公職選挙法によって禁止されている個別訪問ですが、公選法第138条には「何人(なんぴと)も選挙期間中に、戸別訪問して投票を依頼したり、演説会の日程を告知して歩いたりすることができない」と定められています。

「何人(なんぴと)」とは、立候補者、政党、後援会関係者だけでなく、有権者も含めた誰もがやってはいけないこととして定められているのです。

個別訪問が禁止となった経緯としては、「買収が行われる」「情が湧くことで政策本位・人物本位の選挙にならない」という理由が考えられます。

ちなみに個別訪問とは「特定の人や家に訪問する」ことが戸別訪問にあたり、道端でばったり会った人に関しては「戸別訪問」とはなりません。

個別訪問禁止をかいくぐる方法

「どぶ板」があるような路地まで入り込んで歩き回り、握手をしながら一人一人に指示を求める、いわゆる「どぶ板選挙」と呼ばれる方法です。

確かに一人一人に声はかけてはいますが、特定の家を訪問するのではなく、該当を歩きながら偶然出会った人たちに支持を求めることになるので、どぶ板選挙は戸別訪問にはあたらないのです。

個別訪問の禁止が規定された時代背景

個別訪問の禁止が規定されたのは、大正時代です。

これは、ちょうど男子普通選挙を導入する時でしたが、それまでは高額な納税を収めている満25歳以上の男性で、全人口の約1%にあたる人たちに限られていた選挙権が満25歳以上の全ての男性に与えられることになり、政治がどういったものか分からない有権者が急増するのでは?という危惧が起こりました。

個別訪問をすることで、買収などの不正が行われるのではという理由で禁止に至ったと考えられますが、この時に「文書図画の頒布の制限」についても同時に規定されています。

時代背景による戸別訪問の是非

男子普通選挙が導入されてから約百年。ネット送金が出来るような現代では、戸別訪問をしなくても買収することが可能となっていますので、戸別訪問を禁止するメリットはなくなっています。

最近では、議員の減少の影響もあり、政治家や政党組織に接する機会も減っている傾向にあります。

今の時代では、戸別訪問をすることで、多くの有権者が直に候補者と接触する機会を増やすことができ、政治に対する関心を高めるメリットの方が大きいように感じます。

候補者と有権者が直接話をしたりすることで、政治に関心のなかった人々が関心を持ち、本来の選挙の役割を有効なものに変えていけるのではないでしょうか。

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